アイリスオーヤマ「メタルラック」のラインナップを分かりやすく解説

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タッパー、バンドエイド、セロテープ…。これらが一般名詞ではなく登録商標であるというのは有名な話です。

「メタルラック(Metal Rack)」も実は登録商標で、1999年以降にアイリスオーヤマ株式会社が取得しています。よって、メタルラックなどをはじめとするこの手の商品の一般名詞はスチールワイヤーラックもしくはスチールワイヤーシェルフなどとするのが適切です。ちなみに、「ERECTA」等はエレクター株式会社、「Luminous」「メタルルミナスラック」等は株式会社ドウシシャ、「メタルシェルフ」は株式会社山善の商標となっています。

それはさておき、タッパーなどと同じくらい認知度が高いアイリスオーヤマのメタルラックは、一時はドウシシャのルミナスラックと市場を二分するほどでした。しかしながら、ルミナスラックが独自の展示手法でシェアを伸ばしたことと、アイリスオーヤマが収納用品から家電や食品まで事業領域を広げたためリソースが分散し、徐々にメタルラックのシェアは下がっていきました。

しかし、アイリスオーヤマも決してこの市場で負けを認めたわけではありません。現在も新商品を投入し続けるとともにラインナップの最適化を進めています。

というわけで今回は、メタルラックの現在のラインナップについてまとめてみたいと思います。

※この記事は2024年7月19日時点の情報に基づいています

アイリスオーヤマ・メタルラック【25mm】

アイリスオーヤマではポール径25mmの「メタルラック」を中心に、ポール径19mmの「メタルミニ」や同12.7mmの「メタルスリム」、「カラーメタルラック」などのいくつかのシリーズを展開しています。

実はポール径25mmのメタルラックのラインナップにも複数のシリーズが存在します。まずはそれらからチェックしてみましょう。

メタルラック(MR)

まずはメタルラックのベーシックモデル。基本的には「MR-」から始まる品番です。幅は460~1800mm、奥行は360~910mm。棚板やポールのサイズバリエーション、オプションパーツともに最も充実しています。棚板1枚あたりの耐荷重はサイズにより100~250kg。すべてクロムメッキです。ルミナスラックで言うと「スリム」もしくは「レギュラー」に該当するスペックです。

高耐荷重モデル(MR-K)

高耐荷重モデルはMRから始まりKで終わる品番です。ルミナスラックのレギュラーシリーズのように棚板の底面に反り止め(補強桟)が入っており、棚板1枚あたりの耐荷重300kgを実現しています。幅は1200mmと1500mm、奥行は460mmと610mmのそれぞれ2サイズ展開で大型です。こちらもクロムメッキのみとなっています。

メタルシェルフ(SE)

メタルシェルフは山善の登録商標です。しかしながら、アイリスオーヤマが今に至るまで堂々と使っています。これはおそらく山善の申請が2010年で、当時は既にアイリスオーヤマがそれを商品名として使っていたからではないかと考えられます。

それはさておき、アイリスオーヤマのメタルシェルフはSEから始まる品番で、メタルラックのベーシックモデルの廉価版という位置付けになります。ルミナスラックで言うと「ルミナス互換スチールワイヤーラック」に相当する、価格訴求商品です。棚板1枚あたりの耐荷重はサイズにより75~100kgとなります。

なお、一部サイズは2024年4月から一昔前のようにキャスター無しに変更されたようです。

カラーパンチングラック(CMR-P)

カラーパンチングラックはCMR-Pから始まる品番の商品で、棚板がスチール製のパンチングボードになっています。なので、厳密に言うとワイヤーラックではないですが、メタルラックであることには間違いありません。

ブラック色とホワイト色の2色展開で、幅は910mmと1200mm、奥行は460mm、高さは 1,785mmのみとなっています。棚板1枚あたりの耐荷重は50kgです。

シンプルメタルラック(SMR)

シンプルメタルラックはその名称から廉価版のようなイメージを持たれるかもしれませんが、実は上位モデルです。クロムメッキに代えて亜鉛メッキを施すことで防錆性を向上させています。すずメッキを施した「ルミナス・プレミアム」に対抗する商品と言えるでしょう。

2023年3月に発売された新しい商品ですが、既に高さ1,785mmサイズは販売を終了し、現在は高さ1,510mmのみとなっています。幅は910mmと1200mm、奥行は460mm。 棚板1枚あたりの耐荷重はサイズにより125~250kgでメタルラックのベーシックモデルと同じです。

なお、廉価版のメタルシェルフに亜鉛メッキを施した「シンプルメタルシェルフ(SASE)」というシリーズもあるのですが、「シンプルメタルシェルフワードローブ」を残して販売を終了した模様です。

メタルミニ【19mm】

メタルミニ(MTO)

メタルミニはポール径19mmで、メタルラックよりも全体的にコンパクト、かつ耐荷重も必要最低限のシリーズです。幅は400~1200mm、奥行は300~450mm。棚板やポールのサイズバリエーション、オプションパーツも充実しています。棚板1枚あたりの耐荷重はサイズにより50~75kg。すべてクロムメッキです。「ルミナス・ライト」に対抗する商品と言えます。

メタルシェルフ(SEM)

SEMから始まる品番のメタルシェルフは、メタルミニの廉価版という位置付けです。ポール径25mmのメタルシェルフ(SE)と同様に、棚板のワイヤーの本数と耐荷重が少なくなります。棚板1枚あたりの耐荷重は50kgです。

ポール径19mのメタルシェルフはポール径19mmの「ルミナス互換スチールワイヤーラック」と同じ位置付けですが、ルミナス互換ラックと異なり少ないながらもメタルシェルフ用の別売棚板が用意されています。ただし、価格差は期待するほど大きくありません。

カラーメタルラック【19mm】

カラーメタルラックは原則としてCMから始まる品番で、ポール径は19mmとなっています。ただし、「コンパクトタイプ」だけはCBMから始まる品番です。CM品番は棚板1枚あたり耐荷重が50kgでメタルシェルフ(SEM)同等なのに対し、CBM品番は15kgしかないことが品番を分ける理由になっているのかもしれません。

カラーメタルラックはクロムメッキではなく粉体樹脂塗装で、現在はホワイト、ライトグレー、ダークグレー、ブラック、ブラウンの5色を基本としていますが、以前はもっとカラフルでした。今後もトレンドに合わせて変更されることがあると思われます。

近年はクロムメッキ仕様よりもむしろカラーメタルラックが主戦場となっているようで、フリーラックだけでなく、ウッドボード付き、ペール上ラック、ワードローブ、ワゴン、デスク、テーブルなど、ニーズに応じた様々なバリエーションが用意されています。別売棚板などのオプションパーツもあります。

メタルスリム【12.7mm】

メタルスリムはMKから始まる品番で、ポール径は12.7mmとなっています。幅は150~330mmの4サイズで、すき間家具として利用することを想定した商品です。高さは880~1,440mm、奥行は480mmないし490mmとなっています。ただ、販売終了を見込んでいるのか、櫛の歯が欠けたような状態になりつつあります。

棚板は一般的なワイヤーシェルフを裏返したような構造で、4周に柵があります。こぼれ止めの役割を果たす一方で、棚板1枚あたりの耐荷重は16kgしかありません。幅150~250mmタイプにはディバイダー(柵)がセットされています。

別売の棚板やポールなども用意されています。

 

以上の通り、アイリスオーヤマのメタルラックはラインナップがかなり充実しています。ただ、現在はインデックスページが用意されていないことからも分かる通り、あまり体系的になっているとは言えません。ルミナスラックのほうがシリーズ毎にラインナップが体系化されていて分かりやすいと思います。

ただ、アイリスオーヤマとしては従来のクロムメッキのユーザーをシッカリと囲い込みつつ、価格重視のユーザーには廉価版のメタルシェルフを提供し、拡張性などを考慮せずインテリア性重視のユーザーにはカラーメタルラックを手に取ってもらえたら、というスタンスなのだと思います。反対にドウシシャはカラールミナスラックには力を入れておらず、クロムメッキはプロユースの需要まで対応するとともに、カラー系はブラックの「ノワール」、ニュアンスカラーの「エリソンラック」を中心にニーズに応えようとしている感じですね。

特にカラーメタルラックは衝動的に買ってしまいそうになる魅力的なラインナップが多くあります。拡張性を重視するならルミナスノワールやエリソンラックも検討しつつ、価格など総合的に考えて購入してもらえたら良いのではないでしょうか。

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日本で初めて一般家庭向け収納&インテリア・コーディネートサービスを始めて20年余りの収納&インテリアのプロ。これまでたくさんのワイヤーシェルフを組み立ててきました。独身時代はエレクターを中心としたコーディネートで、その後もメタルラックやルミナスラックを愛用しています。詳しいプロフィールはこちら

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