スチールワイヤーラックは多くのホームセンターで販売されています。日本ではドウシシャの「ルミナスラック」がもっとも多くのシェアを占めており、ついでアイリスオーヤマの「メタルラック」、家具販売店等ではエレクターの「エレクターベーシック」などが販売されているという具合です。ニトリやカインズではそれぞれオリジナル商品が扱われています。
一方で、会員制ディスカウントショップのコストコではTrinity(トリニティ)というメーカーのものがよく販売されています。「コストコだからきっと安いに違いない」と思いつつも、果たして日本のメーカーのものとどう違うのだろうかと不安に思われる方もいらっしゃることでしょう。
そこで今回は、コストコで販売されているトリニティのワイヤーラックを分析してみたいと思います。
※この記事は2024年7月14日時点の情報に基づいています
トリニティ・ワイヤーラック6段CTBFZ-0945
こちらが現在、コストコで販売されているトリニティの「ワイヤーラック6段クローム CTBFZ-0945」です。トリニティは米国カリフォルニア州に本社を置く収納用品メーカーで、ワイヤーラックのほか、作業台やスチールキャビネット、ウォールハンガーなどを扱っています。
CTBFZ-0945のコストコでの価格は通常税込13,980円のところ、2024年7月15日から21日まで2千円引きの11,980円。配送を依頼すると、別途税込3,960円かかります(ヤマトホームコンビニエンス)。オンラインでの価格は税込17,800円ですが、これはコストコの通常価格に送料を足した金額とほぼ同じです。
ちなみに、トリニティの直販サイトでは249.99ドル(約4万円)となっています。
楽天市場では19,450円から
日本でコストコ以外で購入できるところを探すと、楽天市場では19,450円からとなっています。また、amazonではマーケットプレイスで税込19,780円からとなっています。
トリニティCTBFZ-0945のディテール
全体写真
コストコでは展示什器の上段に乗せられていて、強度などを実感することができません。
パッケージ
パッケージはカラー印刷されたダンボール箱です。なかなか損傷が激しいです。大人一人では抱えにくい大きさで、重量も38kgあるので、2人以上で運ぶ必要があります。なお、パッケージを見ても製造国は表示されていませんでした。
キャスター
大径の一輪ゴムキャスターは2輪がストッパー付き、残り2輪はストッパー無しです。
棚板には反り止めなし
トリニティの棚板の底面には反り止め(補強桟)がありません。この点で、ドウシシャの「ルミナスラック」で言うと「レギュラー」シリーズより「スリム」シリーズに近い仕様と言えます。
リングに刻印
リング(棚板の角部)にはブランドとNSF認証が刻印されています。溶接はシッカリしている一方で、表面の剥がれが随所に見られます。荷ズレが酷いようです。こんな品質管理で厳しいNSF認証をパスしているというのはちょっと信じがたい思いです。
ちなみに、NSF認証とは国立公衆衛生財団によって飲料水や食品機器において公衆衛生や安全性の基準を満たすことが認められたもので、100ヵ国以上、約5,000社のメーカーに採用されている世界的基準です(出典:JAX-JAPAN)。
ポールにもキズが
ポールの質感は一昔前に見られた安物のように俵状ではなく、しっかり溝が彫られています。ルミナスラックに似た質感で、ステンレスではないと思われます。それでもNSF認証をクリアしているということですから、クリアコーティングが施されている可能性があると思います。ただ、こちらも小キズが散見されます。
なお、ポールは上下を継ぐかたちになっていますが、2台に分割して使用するためのパーツは日本では販売されていません。よって、上下で分離して使うことは事実上不可能となります。
ルミナス・レギュラーとの比較
メーカー | トリニティ | ドウシシャ |
---|---|---|
シリーズ | EcoStorage | ルミナス・レギュラー |
品番 | CTBFZ-0945 | NLH1218-5 |
サイズ(mm) | 1220×460×1960 | 1215×460×1795 |
棚板 | 6枚 | 5枚 |
ポール直径 | 25mm | 25mm |
キャスター | 大径ゴム一輪 | ナイロン双輪 |
アジャスター脚 | 付属 | 付属 |
ワイヤー張り方向 | 縦 | 縦 |
耐荷重/全体 | 453.5kg | 500kg |
耐荷重/棚板 | 60.3kg | 250kg |
税込価格 | 11,980円~ | 17,800円 |
※耐荷重はすべてアジャスター脚装着時 ※ルミナスの税込価格は公式ショップの場合
日本でお馴染みのメーカーのワイヤーラックと比較するとどうでしょうか。まずは同じ縦張り(棚板の主なワイヤーが奥行方向)のドウシシャ「ルミナス・レギュラー」シリーズと比較してみたいと思います。
サイズに関しては、幅と奥行きはほぼ同じながら、トリニティのほうが高く、棚板の枚数も1枚多いです。また、キャスターはトリニティが大径の一輪ゴムキャスターを採用しているのに対し、ルミナス・レギュラーは耐荷重に劣るナイロン双輪キャスターです。なお、ルミナスの別売の一輪ゴムキャスター4個組は税込3,560円となっています。
ラック全体の耐荷重は同程度です。これはアジャスター脚の耐久性によるところが大きいと思います。一方で、棚板1枚あたりの耐荷重はルミナスのほうが圧倒的に大きくてトリニティの4倍以上。ルミナスのほうが立派な反り止めが仕込まれているので当然だと思います。
価格はトリニティのほうが3割以上も安いです。棚板が1枚多くて、丈夫な一輪ゴムキャスター付き、おまけにNSF認証つきでこの価格はコスパが良いと思います。
ルミナス・スリムとの比較
メーカー | トリニティ | ドウシシャ |
---|---|---|
シリーズ | EcoStorage | ルミナス・スリム |
品番 | CTBFZ-0945 | MH1218-5AN |
サイズ(mm) | 1220×460×1960 | 1215×460×1795 |
棚板 | 6枚 | 5枚 |
ポール直径 | 25mm | 25mm |
キャスター | 大径ゴム一輪 | ナイロン双輪 |
アジャスター脚 | 付属 | 付属 |
ワイヤー張り方向 | 縦 | 横 |
耐荷重/全体 | 453.5kg | 500kg |
耐荷重/棚板 | 60.3kg | 135kg |
税込価格 | 11,980円~ | 12,800円 |
レギュラーよりも価格が手頃な「ルミナス・スリム」と比較するとどうでしょうか。こちらもトリニティのほうが棚板が1枚多く、高さもあります。キャスターについてはレギュラーの場合と同様です。
ルミナス・スリムのワイヤーの張り方向は横(幅方向)です。本などを並べて収納する場合は横張りのほうが隙間から落ちにくいというメリットがあります。耐荷重はアジャスター脚の場合、スリムもラック全体では500kg、棚板1枚あたりはトリニティの2倍以上の135kgです。
価格は概ね同程度と言えます。ただし、前述の通り、トリニティは棚板が1枚多くて、丈夫な一輪ゴムキャスター付き、おまけにNSF認証つきです。
コストコでトリニティを買うのが正解?
以上の通り、トリニティはルミナスラックよりもハイスペックにもかかわらず価格が安いと言えます。ただ、個人的には必ずしもトリニティを買うほうが正解だとは言い切れないと思います。
トリニティのワイヤーラックにはこれと言ったオプションパーツがなく、しかも日本では販売されていません。なので、ワイヤーラックを単品で使うならコスパの良いトリニティで問題ないですが、のちのち組み替えや拡張をするならルミナスラックのほうが安心だと思います。
また、前述の通りトリニティのワイヤーラックはNSF認証をクリアしているという割りには品質管理がよろしくないように思います。ガレージで使うならともかく、室内、ましては食品を扱う現場での使用にはあまり適さないと考えたほうが良いかもしれません。
■ ルミナスラックをオススメする理由 ■
- シェアNo.1だからパーツの入手&拡張などが簡単
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